世界遺産も自然環境もお構いなし!

国が福岡県響灘沖を洋上風力発電有望区域に選定

海鳥・ウミガメ産卵・景観など自然環境への影響などは後回し。形骸化したお決まりの環境アセスで「影響は小さい」のシナリオ

                         以下、長周新聞2025.10.13掲載記事を抜粋引用

福岡県洋上風力発電を目指す響灘沖について、経産省が10月3日、「有望区域」に指定したことを発表した。15,000㎾の巨大風車を34基設置する計画で、北九州市若松区沖に建設した洋上風力発電を上回る規模となる。しかも、対象海域は豊かな漁場であると同時に、世界遺産に登録された神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の近隣区域であり、世界遺産委員会が沖ノ島関連遺産群をめぐって、「風力発電建設の完全禁止」を求めた勧告を踏みにじる行為である。その影響は対象海域の海棲生物や自然景観そして近隣住民の健康不安(※)と計り知れない。(※)風車から発生する低周波音は距離が離れても減衰しにくく、それによって、めまい、動悸、頭痛、不眠などの症状が起きている。「風車病」と呼ばれ、風力発電施設が多い北海道や東北地方で住民が健康被害を訴えている。

                 上図:長周新聞2025.10.13より引用

福岡県のエネルギー政策室は「利害関係者の中で法定協議会を開くという同意がとれたので有望区域に指定された。国も入れて論議できるようになった。」と説明。(健康不安を抱える沿岸住民や自然環境への影響を危惧する関係者は協議には入れない!)

★巨大な洋上風車が34基!水面占有域は東京ドーム1085個分!60階建てビルに匹敵する巨大構造物を30基以上建てる大がかりな計画の促進区域を目指す福岡県
(風車の推定規模は下記図参照)


宗像市議会が計画浮上の段階で福岡県に意見書
『対象海域は漁業者にとって極めて重要な漁場。促進区域の指定により、大きな影響が懸念される。漁業者の一定の理解がなければ容易に指定を容認することはできない』『魚はどこでも獲れるような考えを持ってもらっては困る』『対象海域は先祖代々受け継がれてきた豊穣の場であり、農業でいえば田畑と同じ。風力発電の条件に合った海域だからといって促進区域に指定するという単純なものではない』『“神宿る島”宗像・沖の島は地元漁業者が代々守り続けてきた島であり、その価値の尊さを認識し、十分考慮のこと』
にもかかわらず、福岡県は水面下で利害関係者の同意をとりつけ、計画手続きを押し進めている。

世界遺産委員会の勧告無視!
世界遺産委員会が求めた勧告として、風力発電に対しては「資産範囲(上記の沖津宮、中津宮など)及びその周囲の緩衝地帯、さらに構成資産に影響を及ぼしうる範囲において、(風力発電を)完全に禁止すること」を明記していた。しかし、福岡県や経産省はこの警告を真っ向から踏みにじる行為といえる。
「宗像大社の同意を得ていない」という福岡県
福岡県は「利害関係者から同意を得た」と主張しているが、漁業や船舶関係者が利害関係で、宗像大社はそうではないので、同意を得ていないと主張。今の時点では協議する必要がなく後回しとは、世界遺産も軽くみられたものだ

もっと軽くみられている野鳥への影響と住民の健康不安
何度も言わせていただきますが、環境アセス手続きでは、事業者はとにかく早く手続きを終えて、建設工事にかかりたいので、野鳥への影響は小さいと言わないと、再調査をすることになったり、手間と時間がかかるので、野鳥への影響軽減には消極的なのでしょう。風車の低周波音による人への健康被害は、環境省が認めていないことから、事業者は低周波音測定や健康被害調査などを実施したくないようです。

                      <つづく>




写真の風車は若松沖洋上風車

 







      

 









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