CO2削減に寄与、17万世帯の電気をまかなうとアピールするが.....

 響灘洋上風力発電25基

殺風景な響灘に変身!

風車の羽根に叩き落される鳥たち、低周波音による健康被害の懸念、漁師さんも漁への影響が心配.....。

         写真上:2025年8月3日北九州市若松区脇田海釣り公園付近から

    写真上下:2025年7月25日北九州市八幡東区皿倉山山頂から(日本野鳥の会北九州支部会員提供)


 現時点で国内最大級の洋上風力発電をアピールする響灘洋上風力発電ですが、自然環境などへの影響は小さいの結論ありきの環境アセスでは、都合の悪いことはスルー、必ず起きるバードストライクは軽視し、風車から発生する低周波音による沿岸住民への健康被害(公害)には真摯に向き合っていません。誘致した北九州市の後押しがあるから心強いのでしょう。

 利権目的の開発には取返しのつかない環境破壊や事故はつきものです(秋田県で起きた羽根折れ落下による死亡事故など)。この風力発電事業は私たちが毎月払っている電気料金の「再エネ賦課金」で賄っているのです。言わば私たちがこの問題だらけの風力発電を支えているのです。このまま風力発電やメガソーラーが増え続ければ、さらに電気料金も上がることになります。株主とも言える市民のみなさん、このままでいいわけないですよね。
            写真上:脇田海岸に設置された市民へのアピール看板
      問題を抱えたまま運転が始まる洋上風車は地域と歩んでいるとは言えないでしょう!

上の看板に注目!
「一般家庭17万世帯分相当の電気を発電します」と言う意味の説明が書かれています。いかにも私たちが利用している電気が常に風力発電によって発電されていると思ってしまうでしょう。
 しかし、これは数字の遊びに過ぎません。フル(22万kw)に発電できるような強い風はめったに吹かないので、1年間を通じて一般家庭の電気をまかなうのは無理です。真冬の深夜に強い北風が吹いてフルに発電しても、家庭では暖房機や冷蔵庫など以外使いようがありません。真夏の暑い時期、冷房が必要な時期にはまず強い風は吹きません。フルに発電できるのは年間3割以下ぐらいのものです。(一部引用:「風力発電の不都合な真実」武田恵世)

風力発電はCO2を減らすことができない!
 CO2を減らすには、風力発電で発電した分、火力発電所で使う化石燃料(石油、石炭、ガス)を減らさないといけません。実はそんな運用はしていません。風力発電は不安定(風が吹いたり吹かなかったり)なので、火力発電所は発電が安定するように、いつでも火を焚いて待機しておかなければなりません。風力発電の発電に合わせて火力発電の出力を調整するのは非常に難しいため、風力発電が多い北海道や東北地方の電力会社では、風が強い日は火力発電所の出力を下げるのではなく、風力発電からの送電を停止して対応しています。
私たちが住む九州でも、昨年は過去最高の再エネ発電(風力発電や太陽光発電)の出力抑制が行われたと報道されました。(一部引用:「風力発電の不都合な真実」武田恵世)

先例に学ばない日本の風力発電
 風力発電先進国のヨーロッパでは、洋上風力発電による渡り鳥などの被害の実態を把握するために、1年間ヘリコプターで調査したり、野鳥が多く生息する地域には計画できない厳しいゾーニングも実施されています。長年、野鳥に影響を与え続けた反省からでしょうか。
 また、日本では風車から発生する低周波音(※)による健康被害(めまい、頭痛、動悸、不眠症など)を国は認めようとしていませんが(事業者も)、ヨーロッパではすでに「風車病」と呼ばれ、研究が進んでいます。風力発電事業によって、人の体に悪影響が起きるのは「公害」です。研究者が指摘する健康被害を認めず、甚大な被害になった「水俣病」を教訓としなければなりません。
(※)低周波音:普通の音とは違い、空気による吸収の影響が少なく、遠距離まで到達する。2㎞、3㎞と離れていても低周波音は減衰しない。また遮音されにくく、室内へ透過しやすい。窓を閉めても遮音効果は薄く、室内で共鳴することがあり、屋外よりも室内の方が高レベルとなる場合がある。(引用:北海道大学 田鎖順太助教授 講演要旨より)
 事業者によれば、響灘洋上風力発電25基の内、沿岸に最も近い風車で1.8kmの距離です(もっと近い感じがしますが...)。北西の風が強く吹き、風車がビュンビュン回る冬期は体調の変化に要注意です。

 洋上風車は漁業の邪魔でしかないと思っている漁師さんは、私たちの活動に理解を示しつつも、国策で進める風力発電に物申すことが難しく、誘致した北九州市にも遠慮する立場であっても、洋上風力発電が漁業に与える影響を心配していました。他県の漁協も、ヒラメやタコの底生魚、回遊する魚類への影響が10年、20年後に起きるのではないかという、不安を感じているようでした。
 環境アセスで影響は小さいと評価した事業者は、10年、20年後のことなど気にする様子はありません。海外より高い買電価格を頼りに(再エネ賦課金が頼り)、ひたすら建設費の元を取る目標に向けて、「風よ吹け!」でしょう。野鳥や人、漁業への被害があっても、運転停止にはならないと信じているのでしょうか。
 そんな事業者に「喝!」です。

 







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