撤退続く陸上風力発電計画

 風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州 Association to protect wild birds from wind power

県が規制区域に指定した途端に撤退

~岡山・鏡野町風力発電25基計画~

 風力発電事業の計画があったのは、岡山県鏡野町の山。ENEOSリニューアブル・エナジー」が最大で高さ180m25基の風車を設置するとしていた。「ENEOSリニューアブル・エナジー」によると、20254月、岡山県が一定規模以上の盛り土に許可や届け出を求める「規制区域」に鏡野町などを指定した影響で、風車の数を大幅に削減する必要が出たため採算が取れないと判断したという。88日、鏡野町に事業から撤退する意向を伝えた。

一方、土砂災害や貴重な自然を破壊する恐れがあるなどとして計画に反対していた地元住民らでつくる団体、「鏡野風力発電を考える会」の代表は、「事業者は撤退を決めた理由として、県の盛土規制法をあげていますが、私たちの3年間の活動が撤退に少しでも影響したのであれば、本当に甲斐があったと思います。再エネは今後、積極的に進めていく必要があると思いますが、場所や規模を十分に考えないと、かえって環境に悪影響を与えかねない。現在、国が定めている事業者寄りのアセスメントでは今後も環境や生活に深刻なダメージのある計画が出てくる危険がある。そのようなことにならないよう、今後は再エネに関する町の条例の制定やアセスメントの見直し等を求めていきたい」とコメントしている。(引用:KSB瀬戸内海放送、長周新聞)


資機材高騰の影響を受けて、事業性を確保することが困難、

事業を取り止めることを決定

~北海道苫東厚真風力発電計画~

                   イラスト:苫東厚真風力発電事業を考える会

北海道勇払郡厚真町(あつまちょう)の浜厚真地区に「Daigasガスアンドパワーソリューション」最大高さ190mという北海道最大規模の巨大な風車を10基建設する計画。(厚真町が積極的に誘致した事業ではない)

【浜厚真に建設すべきでない理由】

本事業に対する地域住民や国民の理解が十分に得られたとは言えない。具体的には、近接する住宅・飲食店(風車から900m)、事業計画区域周辺で飼育されている家畜(牛・鶏・馬・羊)、貴重な湿地環境年間6万人が訪れる浜厚真の海岸、それぞれへの大きな影響について適切かつ具体的な配慮や対応が不可欠。

特にの湿地については、多くの絶滅危惧種が生息しており、中でも国内で100つがい程度しか繁殖しておらず強く絶滅が危惧される猛禽類「チュウヒ」においては、当該計画地域で6つがいの生息が確認されている。日本野鳥の会、日本生態学会に加え北海道知事からも本事業に対する強い懸念と、事業計画の変更等が求められている。

しかし、準備書の内容を見る限り、上記の影響に対し科学的知見に基づいた十分な対応が計画されているとは言い難く、再生可能エネルギー導入が持続可能な社会構築に必要であると理解しつつも、本事業を現状の内容で進めることは、住民生活や地域経済、生物多様性、景観などの観点から取り返しのつかない破壊的な開発となる可能性が強く懸念される。(苫厚真厚真風力発電事業を考える会H.Pより)

2025819日、事業者であるDaigasガスアンドパワーソリューションが事業の取り止めを発表!

【ブログ作成者から】

岡山県鏡野町については、県がタイムリーに規制区域に指定したこと、それを引き出した地元市民団体の地道で丁寧な活動が行われたこと。そして、北海道厚真町については、地域住民の生活に影響が大きいことを訴えたことが、計画断念の要因であろうと思います。事業者はいつものことながら、地域や保護団体からの反対があったからとは言いたくないようです。事業性が確保できなくなったと言う方が、事業者としてメンツが立つ?からでしょう。

野鳥保護団体は地域に寄り添った行動をしよう!

近年の計画撤回事例を見ると、地域で立ち上げた市民団体の影響が大きいと言えます。自治体も地域住民の訴えは軽視できないようです。野鳥をシンボルとする自然環境への影響を訴えることはもちろん重要ですが、野鳥に被害が及んでもお咎めなし、ペナルティーもなしでは、事業者が野鳥への影響を軽視するのは当然と言えます。つまり、野鳥保護団体だけでは不当な風力発電計画を撤回させることは難しく、地域の市民団体と連携した活動がますます重要になってきました。野鳥の被害を防ぐためには計画を撤回させることが最善であれば、計画に反対する地域の市民団体と行動を共にすることを躊躇するべきではありません。野鳥保護団体も環境アセスに対する意見を出すだけではなく、地域住民に寄り添った行動をしていかなければなりません。


               野鳥にもやさしい風力発電であってほしい

             We want wind power to be wild birds friendly

コメント

このブログの人気の投稿

CO2削減に寄与、17万世帯の電気をまかなうとアピールするが.....

ネイチャーポジティブ宣言が「絵に描いた餅」にならないように!

野鳥の死骸発見が続いている風力発電事業者三社に要望書