20年前の国会質問
「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」
Association to protect wild birds from wind power
20年前、国会で風力発電によるバードストライク問題が質問されていた!
しかし、20年経った今、分別のない風力発電事業が横行し、有効な対策も実施されないまま、バードストライクは増え続け、希少種の犠牲も増える一方!
風力発電が鳥類に与える影響(バードストライク)の防止に関する質問主意
平成16年(2004年)6月14日 参議院議員 岩佐恵美
抜粋引用:第159回国会(常会)参議院公開記録
「風力発電施設が増え、また風車が大型化するに従い、鳥類に与える影響とりわけ衝突による死傷(バードストライク)の多発が大きな問題となってきている。わが国は、日ロ、日米、日中、日豪の渡り鳥条約を締結する当事国であり、年間約200万羽以上の渡り鳥が通過する国として、風力発電施設による鳥類、とりわけ渡り鳥や稀少猛禽類への影響は看過できない。」
「わが国の風力発電施設による鳥類への影響及びその中でも特に衝突による死傷(バードストライク)の現状をどう把握しているか。また、その実態把握のための現在の方策を明らかにされたい。」
「資源エネルギー庁が掲げる2010年度300万キロワットという風力発電設備導入量の目標に向け、バードストライクの防止のためにどのような対策を採るのか。渡り鳥の主要な経路を解明し、主要な渡りの経路は風力発電の設置場所を避けるなどの対策を採るべきではないか。」
「海上の渡りや飛行の経路に建設された風力発電施設は、鳥の衝突事故の危険性を高めている。特に、夜間や霧の発生時に、回転翼が最大の脅威となる。衝突は死を意味するであろう。衝突を避けるために、渡りの経路を変えると、採食地、休息地、繁殖地を失うことになるかもしれない。」
「福島県会津布引高原に電源開発株式会社が最大級の風力発電施設(最大6万キロワット、46基)の事業申請を行っている。準備書では県の準絶滅危惧種のノスリの巣は「ない」とされていたが、今年4月に日本野鳥の会南会津支部によって巣が発見され、それを同社に教えた直後に何者かによって巣が落とされる事態となった。調査が不十分なまま、電源開発株式会社への補助金交付を行うべきではないと考えるが、どうか。」
<政府答弁>
「環境省においては、絶滅のおそれのある鳥類の死体や傷病個体について情報が得られた場合には、必要に応じてそれらの死体等を収容し、死因等についての調査を実施しているところであるが、かかる調査の結果把握されたバードストライクである可能性が高い事例としては、本年2月に北海道において収容されたオジロワシの死体の例が挙げられる。」
「「風力発電導入マニュアル」(平成9年3月環境庁作成)は、地方公共団体が自ら風力発電を導入する際に確認すべき事項を取りまとめたものであり、当該地方公共団体が実施すべき調査として示したものである。このため、環境省では、当該マニュアルに基づく調査は実施していない。」
「風力発電施設の設置に際し、「環境影響評価」を事業者に義務付ける法令は存在しないが、一般に、事業者は、その事業活動を行うに当たって、環境基本法の規定に基づき、事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有しており、風力発電施設を設置する事業者についても、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することが望ましいと考えているところ、「新エネルギー事業者支援対策費補助金」の交付に際しては、事業者に環境への影響に係る調査の実施を求めているところである。」
「福島県の会津布引高原における風力発電事業に係る「新エネルギー事業者支援対策費補助金」の交付申請については、今後、審査を行い、交付の可否を決定することとなるが、当該風力発電事業については、福島県環境影響評価条例(平成10年福島県条例第64号)の規定に基づき、適正な手続を経て環境影響評価が実施されているものと承知している。」
<ブログ作成者から>
2004年というと、私たちはまだ風力発電が野鳥に与える影響をほとんど意識していない時期でした。その頃に参議院議員の岩佐氏が上記のように的確な国会質問をしていたことに、やや驚きました。三重県の歯科医師である鳥類研究家もこの頃には、野鳥への影響と風力発電そのものの問題点を指摘していましたが、私は、2010年頃に北九州市若松区における企業敷地内での風力発電計画の自主アセスの説明を受けて、回転する風車の羽根に衝突する野鳥を意識し始めました。
そして今、実効性あるバードストライク対策は20年以上経っても一向に進まず、野鳥の被害が起き続ける一方で、福島での“ノスリの巣事件”と同様に、アセスデータの改ざん疑惑など、利権目的の風力発電事業となっています。20年前に国会質問した岩佐恵美さんの心中はいかに? この20年間、保護団体の活動の成果も見えていないですね。政府を追及する国会議員が出て来てほしいものです。
野鳥にもやさしい風力発電であってほしい
We want wind power to be wild birds friendly.
コメント
コメントを投稿