九州鹿児島も危機感募らせる!

「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」Association to protect wild birds from wind power

 

吹上浜洋上風力発電100基以上の計画

 国が導入拡大を目指している洋上風力発電、鹿児島県では薩摩半島西方沖一帯に100基以上の整備が検討されている(下図参照~アセス配慮書より)。しかし、鹿児島県はいちき串木野市の沖合について、地元の理解が十分に得られていないとして、国に対し今年(2024年)情報提供を行わないことを決めた。

              

 いちき串木野市は、市の沖合およそ5キロ圏内を建設候補の海域として示したうえで、国に情報提供を行うよう県に提案をしていた。鹿児島県は2023年に周辺の自治体や地元漁協などと協議を重ねてきたが、参加する団体からは建設による漁業や環境などへの影響を懸念し、情報提供に反対する声があがっていた。こうした状況の中、計画を進めるうえで必要な情報を国に提供する期限を過ぎたため、鹿児島県は反対する意見があることを踏まえ、いちき串木野市の沖合に関する国への情報提供を見送った。当初、対象地域のひとつであった南さつま市では反対運動があり、事業者は対象地域をいちき串木野市沖と日置市沖を対象にしていた。

伊佐市・出水市と水俣市にまたがる山間部の計画

 鹿児島県境にある水俣市の山林で計画されている風力発電事業「肥薩ウインドファーム」について、熊本県は土砂災害や希少動植物への影響が懸念されるとして、「事業計画全体の抜本的な見直し」を事業者に求める知事意見を経産省に提出した。同事業は熊本県水俣市と鹿児島県出水市、伊佐市にまたがる県境の山間部3,500ヘクタールに大型風車30基を建設する計画(下図参照)

               

 知事意見は、事業区域で死亡事故があった2003年の土石流災害の現場に近いことなどを指摘、「土砂災害発生の懸念が払拭されていない」とした。熊本県知事と同様の懸念を示した水俣市長の意見や審査会、公聴会などでの意見を踏まえた厳しい内容となった。また、「希少種のキリシマエビネの自生地の半数が消失する」「クマタカが風車に衝突する可能性」から、自生箇所の開発回避や、風車の位置の変更などを求めた。

水俣市の市議会議員も疑問を呈しています。                 

 「建設予定地は県有林と国有林で、水源涵養林も含まれる森林を壊してもいいのか。しかもどのくらいの深さ掘削するのか事業者は未公表」「建設予定地の鬼岳山~頭石集落までは12kmで、しかも砂防指定地域(土砂災害警戒地域)」「建設がもし開始されれば、湯の鶴温泉地域のかなり狭い道路を、10トントラックが毎日200300台通過予定」「近くの茶畑を営んでいる地域までは200mほどしか離れていないため、近隣住民の低周波の健康被害が出る可能性も」「希少なクマタカの生息地域。バードストライク発生の可能性も」

日本野鳥の会鹿児島県支部の役員の一人は、「吹上浜沖の計画については、主に南さつま市の団体が活発に反対運動をされています。陸上風力発電については、熊本県水俣市の方々を含めて「南九州風車ネット」を作ろうかという話が出ています。やはり、計画予定地の地元の方が声をあげて、野鳥の会と共に活動してもらうことが大事だと強く思います。これから共有し、連携し合ってネットワークを広げていけたらと願っています。」

  そのほかに、薩摩川内市・いちき串木野市の周辺山間部18基や、伊佐市~えびの市~人吉市にまたがる山林に20基程の計画もあります。さらに、こう着状態?の紫尾山系の大規模な風力発電計画も気になります。野鳥の会鹿児島県支部のご苦労は如何ばかりと推察します。自然環境をないがしろにし、人の健康や野鳥への配慮もなく、利権目的の再エネバブルに悪乗りする自治体もあり、私たち保護団体も翻弄されています。地元で反対する団体と保護団体が連携し歩調を合わせ、励まし合いながら、風力発電促進が一旦立ち止まり、その進め方を見直すまでがんばりましょう!

        野鳥にもやさしい風力発電であってほしい

        We want wind power to be wild birds friendly


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