環境への影響を理由に風力発電計画の中止相次ぐ!
「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」Association to protect wild birds from wind power
北海道・東北・中部地方で、風力発電計画が2022年に相次いで中止になっています。自然保護団体からの中止要請に加え、地元の問題意識の高まりが事業者に影響を与えているようです。
【北海道伊達市と千歳市、宮城県川崎町・山形市のケース】
2022年7月29日付、関西電力が発表した「事業の廃止通知書」です。
「当社は北海道伊達市・千歳市および宮城県川崎町の2地点において検討を進めてきた陸上風力発電事業について、事業を実施しないこととし、第1種事業の廃止等通知書を提出することとしました。~中略~本事業計画については、地域の皆さまのご意見を踏まえ、計画の見直しを検討した結果、環境への配慮と事業性の両立が難しいと判断したことから、事業を実施しないこととしました。」
<計画事業規模>北海道伊達市・千歳市:最大19基 宮城県川崎町・山形市:最大23基
この計画が自然環境に無配慮だったのは、まずは支笏洞爺国立公園や蔵王国定公園に計画地がかかっていたことです。良好な自然環境・景観を何とも思わない計画に対して、北海道伊達・大滝区の地元住民はこの1年前に計画反対のための団体を設立し、反対署名を集める活動を始めていました。自然保護団体からも、イヌワシ、クマタカ(共に種の保存法指定種)への影響、さらに渡り鳥の飛翔経路にある事。また、工事用道路建設に伴う森林伐採の危険性と国立公園内の景観損傷を訴えていました。北海道環境影響評価審議会においても、計画が国立公園内に含まれていることや、保安林への配慮を欠く点が指摘されていました。
宮城県川崎町では、蔵王の「御釜」からの眺望など景観への悪影響は避けられず、予定地が国定公園にかかっていたことも含め、県の審査会からも厳しい批判が上がりました。関西電力は国定公園内への建設をあきらめ、風車を23基から19基に削減しましたが、それでも批判を受けたため、さらに削減することにしたが、県の審査会からは、「御釜」から風車が一切見えない配置も求められ、計画は事実上行き詰まりました。地元住民からの反対意見書も、川崎町に寄せられただけでも3700人分に上っていました。地元住民の方は、「関電は僕らが蔵王に対して思っている気持ち自体を勉強していなかったのかなと思いました。」と。
(写真)蔵王国定公園「御釜」(引用:山形県公式観光サイト「やまがたへの旅」より
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