野鳥が風車に衝突死した事例
「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」Association to protect wild birds from wind power
風力発電による
国内及び海外における野鳥の衝突死事例
<日本国内における事例数>2019年(公財)日本野鳥の会資料より
105種569羽(2023年3月末時点では604羽)
公的機関によって「可能性が高い・ある」と判断された事例数。この中でタカ類が約30%、カモメなどの海鳥が約24%を占める。風車の羽根の回転域と飛ぶ高さがほぼ同じであることから、バードストライクが多くなるようだ。
なお、この事例数はほとんどが偶然発見されたものであること、また、衝突死と認められないケースもあることから、実際の数はこの数字の数倍から10倍以上であろう。
★風力発電によるバードストライクと認められることの難しさ
風力発電事業者は、衝突した瞬間でも見ない限りは簡単に認めない傾向があり、死骸を解剖したりなどの検査を積極的には実施しない。
<北九州市内の事例数は?>
すでに撤去された響灘の実証実験機の洋上風力発電に衝突したミサゴ1羽が衝突死として公表されただけ。しかし、響灘地区の風力発電施設ではこれまで11種33羽の死骸が発見されており(2023年1月現在)、すべて風車に衝突した野鳥と推測できる。施設点検ついでの偶発的な発見だとすれば、実際はこの何倍もの数字になるに違いない。中には、絶滅危惧種や渡り鳥条約掲載種もいるが、衝突防止の工夫は何もなく、響灘地区で繁殖しているチュウヒ(※)たちの危険は続くのだろうか。
※チュウヒ(写真上):絶滅危惧種・国内希少野生動植物種(種の保存法)に指定されているが、本州以南ではごく少数のつがいが生息しているのみである。ⒸT.ITOYAMA
今日もどこかで野鳥が風車の羽根に弾き飛ばされている!
<海外における事例数>(公財)日本野鳥の会資料より
1)ドイツを中心に欧州での調査による事例数:829羽
内訳:カモメ科348羽、タカ科234羽、ハヤブサ科36羽、
カモ科42羽、カラス科20羽など
2)SEO/BIRDLIFE(スペイン)作成による衝突死事例
ドイツ、アメリカ、カナダ、スペイン、オランダの2013年までの主な事例
ガン・カモ・ハクチョウなど228羽、猛禽類2371羽、
ウズラ・キジなど92羽、ツグミ・ヒタキなどの小鳥類2892羽、
ハト類448羽、カモメ科378羽、フクロウなど夜行性の鳥264羽
★日本国内、海外を問わず、タカ類の衝突死が多い。
★小鳥類が多いのは、移動・渡りをするコースに風力発電施設が建設されていることがうかがえる。
3)世界で最も多く洋上風力発電施設が建設されているイギリスでは基本的には重要な種の鳥類が生息している場所には建設されない!しかし、海洋での死骸発見が困難なため、衝突死事例が少ない。
4)洋上風力発電における衝突死事例
・ベルギー ゼーブルグ沿岸(浅海域)防波堤に建つ風力発電25基
アジサシ類など2004年523羽、2005年459羽の衝突死を確認
・ドイツがバルト海で実施した調査は、ヘリコプターで1年間に44回の死骸捜索調査を実施。442羽の鳥類の死骸を回収(風車1基当たり約32羽、87%がツグミのなかま)。
★野鳥の衝突・死骸発見の実態を明らかにすることから、野鳥への影響とその対策が見えてきます。
「本当に環境にやさしい風力発電」を目指しましょう!
We want wind power to be wild birds friendly.
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